その気もないくせに優しくしないでお願いだから
あの日の幻影がいまでも抱き寄せ徒に囁く

求められていることに今更縋りついても
救われないことくらいわかっているはずでしょ

夢の中にまで勝手に現れておいて何を求めるの？
忘れていたはずなのに香りや仕草が無駄に蘇る

部屋中散らばる二人の残滓が
光のない未来ばかり紡いでいく

あの人のすべてを否定していくように何もかも奪って
愛していないって言葉にしてよ
もう逢えないって突き放してよ
どうしようもなくなるほどに

ああいっそこのまますべて壊してしまってよ
今更言い訳なんか並べて
許して欲しいなんて言わないで
今すぐこの部屋からもう出ていってよ

さよならを言えずに別れた弱さに
行き場のない感情だけが渦巻く

あの人のすべてを掻き消していくように涙さえ奪って
綺麗事ばかり並べないでよ
もう構わないで突き放してよ
息もできなくなるほどに

ああきっとこれからすべてが消えていくんでしょう
同じ景色を観ていた時間も
肌を重ねて過ごした時間も
笑いあえたあの日々さえも

夢から目が覚めていくように何もかも奪って
愛していないって言葉にしてよ
もう逢えないって突き放してよ
どうしようもなくなるほどに

ああいっそこのまますべて壊してしまってよ
今更言い訳なんか並べて
許して欲しいなんて言わないで
今すぐこの部屋からもう出ていってよ

2021.09